今日の「折々のうた」(鷲田清一・朝日新聞)は、
ホスピス医:徳永進氏の言葉からでした。
『正義とか快適とか、一方向にしか向かわない言葉は、心を狭くする。』
『誰も正面きって反対できない観念』は、相手を黙らせ、『いのちの機微と揺らぎ』を潰していく。
『「効率」や「公平」もときにそのように働く』。
これはまさに、介護の現場が抱える葛藤のように思います。『いのちの機微と揺らぎ』を無視してでも、とりあえずやるしかないという。
「効率」のもとでは、「主体的な動き」を促すかかわりをしながら待つということを諦めてしまいます。
「公平」のもとでは、「その人らしく」を尊重すると不公平になるのではという怖れを抱いてしまいます。
その人のためなのだ、という『正義』をふりかざしてしまうと、今度は自分自身が孤立してしまいます。
それでもなお、ほんとうにやりたい介護をやり通すために必要なことはなんだろう。
やりたいことを諦めず、辞めもしないためにはどうしたらよいのだろう。
私に不足していたのはなんだろう。
介護老人保健施設「鶴舞乃城」看介護長:高口光子さんの言葉をお借りすると、
『説得力・交渉力・表現力・持久力・決断力』 ということになるのかもしれない。
あらら、確かに全部足りていなかったような・・・。
あれから少しは心を広くできたでしょうか。
「効率」と「公平」のもとでもなお、ひとり一人を大切にしたいと思える強さと希望を。