《接遇》のエピソードから学んだこと

いろんな事情で病院へ行くことが続き、患者や家族の立場で改めて《接遇》について考えました。

介護現場への出前講座では、利用者さんに対してだけでなく職員同士の《接遇》についても伝えたいので、「お互いに心地よく」をキーワードにしています。

そしてもうひとつ。

相手が利用者さんでも同僚でも、「自分は大切にされている」と感じてもらうことが大事だと伝えます。

自分の言動が相手に及ぼす影響に思いが至っておらず、手順として「挨拶」や「言葉かけ」をしているだけでは《接遇》しているとは言えません。

 

基本的な知識としては、「言語と非言語(表情や態度や視線や声のトーンなど)を比較すると、言語よりも非言語情報から受け取る影響のほうが大きい」「第一印象が悪いと、その後もずっとネガティブな影響が続く」などがあります。

逆に、第一印象が良かった場合は、その後にマイナスポイントが発生してもダメージが少ないばかりか、「きっと〇〇なんだろう」と好意的に受け取ってもらえる可能性もあります。

 

 

エピソード1.「びっくり仰天」

ある病院の外来受付で、看護職員がパソコンの画面を見ながら何か操作をしていました。

私が「お願いします」と言って受付票のファイルを差し出したところ、その看護職員は見向きもせずに無言で片手を差し出しました!

その手にファイルを乗せると、パソコン画面からチラリと一瞬だけファイルを見て無言で受け取りました。

おお~!ひとこともなし。

「無言」「アイコンタクトなし」の看護職員を外来に配置している、とても強気な病院でした。

ちなみに、この辺では名の知れた大きな病院です。

 

 

エピソード2.「拍子抜け」

ある病院を受診して帰宅後、「会計でミスがあったので追加の支払いをしに来てほしい」との電話がありました。

たいへん恐縮しておられて丁重なもの言いで、こちらは快く応じました。

ところが支払いに行ってみると、「私が何か悪いことしましたか?」と不安になってしまうような不愛想な対応。

お詫びの言葉もありません。

電話での丁重な姿勢はなんだったのかしらと、拍子抜けしてしまいました。

ぜんぜん混んでいなくて、暇そうでしたのに・・・。

きっと、電話のときと違ってムシの居所が悪かったんでしょうね。

 

 

エピソード3.「感動」

初めての電話予約から受付~診療と、スムーズな対応で清潔感もあって好印象だった病院。

気持ちよく病院を後にして信号待ちしていたところ、トラックに追突されるという事故発生。

そのとき、病院の職員の皆さんが本当に親切に助けてくれて感動しました。

突発的な出来事に対しても、当事者の身になって連携プレイできているのだと思いました。

その後の受診においても、もちろん《接遇》の満足度が下がることはありませんでした。

 

今回の経験を通して、人と接するときの「ふるまい」には、その人の「心がけ」が現れるものだと学びました。

看護職員であれ事務職員であれ、自分の「ふるまい」が相手に及ぼす影響について思いをいたすことができているかどうか。

患者さんに対するそのような「心がけ」ができていない人は、きっと、同僚に対しても同じだろうなと想像してしまいます。

「感動」エピソードの病院は、電話の引継ぎや事務所と診療科とのやりとりなど、職員同士の雰囲気も好印象でした。

 

 

 

人と接するときにおいて、挨拶とアイコンタクトは必要最低限の礼儀であろうと思います。

「私はあなたの存在を認めている」という証です。

ちゃんとしている職員もいると思います。

でも、受付の段階で減点されてしまったら、後から巻き返すのはかなり大変でしょう。

 

何か不具合や心配ごとがあって病院に来ているところへ、ぞんざいな扱いをされたら悲しくなります。

職員から「私は忙しいんだオーラ」や「私は不機嫌なんだオーラ」を受け取ったら、ますます惨めな存在になってしまいます。

混んでいて忙しい外来受付では受話器片手に応対されることもありますが、そんなときでも、こちらに顔を向けてくれて、少しの微笑みと軽い会釈をくれたら、お互いに心地よい交流ができるものです。

そんな「ふるまい」ができるように、私自身も普段から心がけていなくてはと思いました。