介護関係の事業所は厳戒態勢が続いています。
生命と暮らしを守る最前線で、不安と葛藤を抱えながら働いている方々に、敬意と感謝を!
・・・私の近況。
出前講座やアドバイザーとしての仕事、相談、施設等に入所している方の自費利用などは全て中止・延期の状態ですが、独居の方への自費ホームヘルプは利用を継続していただいています。
高齢者宅に感染を持ち込まないために、私自身も外出を最小限にして、できるだけ人と会わないように気をつけている今日この頃です。
『パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ、「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返らなければならない』
『協力は競争よりも価値があり、人類は一つであることを理解すべきだ』
これは、NHK ETV特集「緊急対談~パンデミックが変える世界~」に出演したフランスの経済学者ジャック・アタリ氏の言葉です。
新型コロナウィルスの世界的大流行は、私たちに何をつきつけているのでしょうか。
世界で、日本で、そして愛媛で起きていること。
身近なところでは、愛媛で初めての感染確認が報告されたとき、いろんな噂が飛び交いました。
ある介護事業所での二次感染・三次感染が報告されたとき、関係者が誹謗中傷を受ける事態となりました。
《自分ごと》にしないことで、不安や恐れに対処しようとしているのでしょうか。
ほんとうに悲しくなって、気持ちが沈んでしまいました。
番組のなかで聞いた「合理的利己主義」という言葉に目からウロコでしたので、紹介したいと思います。
「他者のために生きる」というと、自分を犠牲にして他者に尽くすというイメージかもしれません。
《利他主義》を辞書でひくと、「①自分を犠牲にして他人に利益を与えること ②仏が人々に功徳や利益を施し済度すること」とあります。
一般的に、利他主義と利己主義は相反するもののように思えますが、ジャック・アタリ氏は、「利他主義は合理的利己主義にほかなりません」と言います。
「利他主義という理想への転換こそが人類のサバイバルの鍵である」と。
●利他主義とは、実は最も合理的で自己中心的な行動
●自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要がある
●たとえば日本の場合も、世界の国々が栄えていれば市場が拡大し、長期的にみると国益につながる
●長期的な視野に立ち、食料、医療、教育、文化、情報、研究、イノベーション、デジタルなどの産業、生きるのに本当に必要な”命の産業”に集中すること
●爆弾や武器を生産するのではなく、医療機器、病院、住宅、水、良質な食料などの生産を長期的に行うこと
アタリ氏は、利他的な経済や社会を「ポジティブな社会」「共感のサービス」と呼んでいます。
また、「親として、消費者として、労働者として、慈善家として、一市民として投票を行う時にも、次世代の利益になるような行動をとることができれば、それが希望になる」と結んでいます。
パンデミックがつきつけているのは、利他主義への転換。
このウィルスは、症状が出ていなくても人に感染させる可能性があるとわかりました。
「私は大丈夫」という感覚には何の根拠もないわけです。
自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要がある・・・。
ほんとうに「必要火急」なのかよく考えて行動しよう。
外に出て社会を支える仕事をしている人に、敬意と感謝をおくろう。
感染した人やその関係者に思いやりとなぐさめをおくろう。
おまけ。
番組の対談で最初に出演していた国際政治学者の方が言っていました。
このウィルスは「人と人とのつながりを失わせてしまう」「人間性を失ってはならない」
だから、「イヌを飼いましょう」
「おちつきますよ」って。
ネコもいいですよ(笑)
落ち着きますよ(笑)
言葉を持たない小さな命が。