『高知家ノーリフティングフォーラム』報告

『第1回高知家ノーリフティングフォーラム』に参加してきました。

400人を超える参加者で、基調講演が行われるメイン会場は定員超えに。モニター視聴ができる別室が用意されているほど、福祉・医療にかかわる人たちの熱気に包まれていました!

人口減少・超高齢化にともなう人材確保への危機感と、全ての県民の健康を守るという強い意志。

足元をみつめ、未来を描くビジョン。

高知家、すごいです。

フォーラムのテーマは、「高知の福祉・医療現場を安全に働ける場所に改革しよう!」です。

「利用者と職員を守れる職場づくりに向けて」というサブタイトルが輝いておりました。

 

 

やさしさと忍耐と自己犠牲&自助努力を求められ、「それができない人は向いてない」とされてきた現場。

私自身も、自分の健康や生活を犠牲にしてでも患者に尽くすのが理想像だと思っていました。

 

「安全に働ける場所に改革しよう!」と、高々と掲げるまでになった、高知家の取り組み発表に圧倒されっぱなしの一日。

一部ですが、ご紹介します。

 

 

●高知県地域福祉部(福祉・介護人材対策室)から発表された、平成31年度の主な取り組み計画は次の2点です。

①「徹底したノーリフティングケアを実践できる事業所を増やす」ために、地域の課題に即した研修開催や教育用ツールを充実させていくとともに、「組織内で労働安全衛生マネジメントに基づくノーリフティングケアの実践を推進できるリーダー(仮称:労働安全マイスター)を養成する。

②ノーリフティングケアは重度者介護のためだけではないことなど、特に在宅系の利用者・家族や他職種の正しい理解を促進するため、情報発信や補助金の拡充などを行う。

 

 

《ノーリフティングケア》という言葉を知っている人が増え、特別養護老人ホームでの実践率が80%以上というところで、次は「うちは必要ない」という認識の事業所がターゲットになるのですね~。

そして、さらにさらに労働安全衛生の視点を強化していくということ。

お話を聞いているだけで、ワクワクしてきましたね(笑)

 

 

●基調講演は、滋賀医科大学の垰田和史准教授による「労働安全衛生とノーリフティング」でした。

製造業や運輸交通業など、他の業界は業務上腰痛件数を減らしているにもかかわらず、医療・福祉の分野だけが右肩上がりという現状。

これは、現状に目が向けられず対策がとられて来なかったということでありますが、そこで働く人たちの声が上がらなかった(上げにくかった)という背景もあるのではないかと思います。

 

「働く人の安全なくして、利用者の安全安心な暮らしはない」

「腰痛はあるけど私は元気、大丈夫、などということはありえない」

「新人は最初から全力疾走しないように」

「働く人の健康は、事業主に責任がある」

「教科書どおりやれば終わりではない、自分で課題をみつけ解決していけるマネジメント力が必要」

「無いよりはまし、今よりはまし、それを継続させる取り組みを」

産業医でもある垰田先生の言葉は、どこまでも働く一人ひとりを大切にされたもので、どれもこれも心に響き、勇気づけられ、励まされました。

頑張るぞ~(笑)

 

 

全国で唯一、社会福祉施設の労災件数を減らしている高知県。

先生がいつもおっしゃっている「トップと現場が一体となって取り組もう」を実践しているのだから、その成果が数字に出るのも当然ではありましょう。

それにしても、すごいです。

「すごいなあ」と眺めてボーっとしている場合ではありません、愛媛。

 

分科会や施設の取り組みについては、また改めて紹介いたします。