やっぱり『高知家』は熱い!

高知市内で開催された「第1回 高知家統一基本ケアセミナーフォーラム」に行ってまいりました。

高速道路から見える山あいの里では、もう水田に水がひかれていて、キラキラと春の陽に輝いておりました。

そんな南国土佐の医療・福祉関係者が集結した会場は、やっぱり熱い情熱に満ち満ちて、圧倒された数時間でした。

 ⇒前回の『高知家』訪問はコチラ

 

 

「高知家基本統一ケア」は、「どんな状態でも、どこで暮らしていても、安心して暮らすことのできる高知県」にするため、平成26年から始まりました。

 

少子高齢化が進む日本の中で、高知県の人口減少は、全国より15年先行しているそうです。

要介護高齢者の増加だけではなく、サポートする医療・福祉の人材確保も大きな問題です。

 

自分が働き続けられる職場環境であるのか。

自分の働く場は10年後も存在するのか。

自分が要介護状態になったとき、ここで暮らし続けることができるのか。

行政任せにしていていいのか。

 

『高知家』の将来について、自分ごととして考えることができる医療・福祉のプロたちがいる。

どうやったら、そんな風土ができていくのだろう。

県下6ブロックからの実践報告やシンポジストの発言を聞きながら、そればっかり考えていたような気がします。

発表資料の入った封筒の中に、黄色いパンフレットが!

やった~♪ ありがとうございます!

高知県の「ノーリフティングケア宣言」が冊子になって、県下の病院や施設に配布されたのだとか。

ノーリフティングケアを導入する目的と効果、導入事例などが、お年寄りや職員の笑顔と共に紹介され、そのまま基礎テキストとして使えるようになっているのがステキです。

 

「高知家統一基本ケアセミナー」は、地域の現状を知るところから始まり、いわゆる「介護の専門知識と技術」はもちろん、防災まで含む15項目がファーストステップとしてプログラムされています。ファーストステップを県下全ての医療・福祉職が受講することを目指しているのは、「どんな状態でもどこで暮らしても」という理念の実践ですね。

さらに「指導者養成」というキャリアアップ支援も行われています。

 ⇒研修情報は「ナチュラルハートフルケアネットワーク」で

 

 

現場は、いっぱい研修して、忙しく動き回って、こんなに一生懸命がんばっている。

それなのに、目の前の患者さん利用者さんの状況はどうなの?

床ずれや拘縮は、いっこうに良くならないし、減らないではないか。

 

そんな現状が「高知家統一基本ケアセミナー」の活動を始めた動機であると、事務局の下元佳子さんは話されていました。

ケアの質向上のキーワードは、「ファーストステップ」と「統一」と「人を育てる」。

 

発表された方たちにも、「人として成長する」という意識が明確であると感じました。

 

 

 

基調講演をされた備酒信彦氏(神戸学院大学総合リハビリテーション学部教授)から、『暗黙知』というテーマが示されました。

 

『暗黙知』とは、ものすごく簡単に言ってしまうと、言語化できない、あるいは、その人の中で言語化されていない『知識』。

経験則や勘やイメージ力など、言葉で説明しようとしても肝心なところは伝えにくいもののことです。

 

たとえば、自転車の乗り方を知っている(できる)ことと、乗り方を言葉で説明できる(伝える)ことは違います。

自転車に乗れること(暗黙知)と、乗り方を言葉で説明すること(形式知)に、どうやって橋をかけたらよいのだろうか。

 

 

「まあとにかく乗ってみて、ちゃんと後ろを持っているから大丈夫よ」っていうことになるのでしょうか。

 

 

昔々、「重度認知症」と言われる人がいる病棟で働いていたころ、「興奮している人をどうやって落ち着かせているの?」というようなことを聞かれたことがありました。

 

なんで? どうやって? という質問に、言葉をつくして説明しても伝わりません。

 

「まあ、とにかくやってみて。落ち着かせようと思わなければ大丈夫」としか言いようがないのでした。

それで、「よくわからんけど、やってみるか」と思ってやる人かどうか、が分かれ道なのですが。

 

今だから言えることは、「よくわからんけど、やってみるか」とさせるだけのものが私に必要だということです。

 

言葉にならないものを言語化するのって難しいです。

 

『ケア』という、数字や形式で表せないものを見える化するのも難しいです。

 

だから、面白い!