本で語る「わたしの2017年」

カズオ・イシグロ氏の「ノーベル文学賞受賞記念講演」要旨の翻訳が新聞に掲載されていました。

ごくごく一部ですが、抜粋して紹介します。

 

 

『物語は人を楽しませ、時々、重要なことを教え、論じる。しかし私にとって大切なのは、物語が感情を伝えるということであり、国境や分断を超えて人間が共有するものに訴えかけるということだ』

 

 

『物語とは、ある人物が別の人物に話しかけることだ。これが、私の感じていることだ。私の言っていることがわかるか。あなたも同じように感じるか、ということを』

 

 

『世界全体を正しい場所に据えるのは難しいことだが、私たち自身の小さな持ち場にどうやって準備できるかを少なくとも考えさせてほしい』

 

 

『分断が危険なほどに深まる時代において、私たちは耳を澄まさなければならない。良い作品を書き、読むことで壁は打ち壊される』

 

 

日々の暮らしのなかにも、一人ひとりの物語があり、誰かが誰かに語りかけているよ。

 これが、私の感じていることです。

 私の言っていることがわかりますか。

 あなたも同じように感じますか。

 

 

写真は、「わたしの2017」をテーマに開催した「第8回 本好きのための読書サロン」に持ち寄られた本たちです。

 

 

気になる本がありましたら、ぜひ手に取ってみてください。

 

 

 

型紙芝居「ふたみ未来予想図」 子ども読み語り隊(伊予市双海町)

愛媛県伊予市双海町で活動している『子ども読み語り隊』が制作した紙芝居。双海の小学生から募集した「未来の双海町像」をもとに、宇宙人まで登場しちゃう楽しい作品。「こんなことできたらいいな」科学の進歩を夢見るのは昔も今も同じなのだけれど、100年後も変わらぬ美しい自然や故郷の風景が描きこまれているところが、さすが双海!

 

 

「ペロペロくんのたからさがし」 井川ゆり子

アリクイの子どもが主人公の絵本。きれいな箱に入れる宝物をさがすペロペロくんの冒険。ペロペロくんが散らかした部屋の絵が、可愛いく美しく楽しい。とうとう見つけた宝物は…? 

 

 

「たぬきのばけたおつきさま」 西本鶏介/小野かおる

こころ優しい“おまわりさん”を訪ねて来たのは、たぬきの男の子。男の子にお茶をすすめて“相談”を聞く“おまわりさん”。ほんわり静かで、じ~んとしてしまう物語の味わい。

 

 

「雨ニモマケズ Rain Won’t 宮沢賢治/山村浩二/アーサー・ビナード(英訳)

アニメーション作家が描く繊細で美しい里山と生き物、人々の暮らし。

Rain won’t stop me  Wind won’t stop me

I’ll never lose my temper, trying always to keep a quiet smile on my face

今という時代だからこそ、あらためて宮沢賢治を感じよう。

 

 

「ゆびさきの宇宙~福島智・盲ろうを生きて~」 生井久美子

目が見えず耳も聞こえない、無音漆黒の宇宙に放り出されたような孤独と不安。「指点字」と「通訳」で人とつながる東大教授に密着したドキュメント。生きる意味について、自立の意味について、私たちのいる「社会」について、どこまでも深く思索する一冊。

 

 

「めざせマグネットホスピタル~チーム美須賀の挑戦~」 美須賀病院看護部

看護の原点「て・あーて」と福祉用具の活用によって、磁石のように人を惹きつける病院へと変化していった愛媛県今治市にある病院の実践記録。仲間を辞めさせたくないというチームの思いとリーダーの牽引力に感銘し、勇気づけられる。

 

 

「しなやかに生きる こころの片づけ」 渡辺奈都子

「全部出す→分ける→収める→維持する」の4ステップで感情を整理整頓する方法。余分なものを手放したら、ほんとうに大切なものを気持ちよく持ち続けることができる。

 

 

「悩んだときは山に行け!~女子のための登山入門~」 鈴木みき

山で人生が変わった! 初心者のための、楽しく読めて役にたつコミックエッセイです。 

 

 

「ボタン」 森絵都/スギヤマカナヨ

クローゼットの奥にあった箱には、服作りが好きなママが若い頃に着ていた服のボタンがいっぱい入っていました。色々な形のボタンから想像する服。ママがママじゃなかった頃を想像してみる女の子。子ども向けだけれど、大人になった女の子にも嬉しい絵本かも。

 

 

「あしたも、こはるびより。83歳と86歳の菜園生活」 つばた英子/つばたしゅういち

簡素だけれど優雅な暮らし““お金よりも時間を貯めて生きてきた”老夫婦の歳時記。 映画「人生フルーツ」で話題になったおふたりです。

    ⇒映画の公式サイトはコチラ

 

 

「きのう、きょう、あした」 つばた英子/つばたしゅういち

しゅういちさん亡きあと、時が止まってしまった英子さん。89歳の英子さんが前向きな気持ちをとりもどせたのは、「食は命」という哲学と、しゅういちさんの「何でも自分で」という言葉でした。

 

 

「NHKこころの時代~唯識に生きる~」 横山紘一

仏教の根本である「唯識思想」の基本をイラストも使ってわかりやすく解説しようという試みの一冊。何十年と探究を続けてきた筆者にして、今も宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の一節を毎朝唱えているのだという。悟りの道のりは遠い!

『アラユルコトヲ ジブンヲカンヂョウニ入レズニ ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ』

 

「『て・あーて』に学ぶ」 美須賀病院看護部

日本赤十字看護大学名誉教授:川島みどり氏を招いた講演会「今求められる看護の力」の講演記録。2時間の講演内容と、参加者の感想など現場の声も掲載されています。看護の根本の「手」と「目」を、電子機器と数値から、人(患者と看護者)へと取り戻そう。

 

 

「ぼけてもいいよ~第2宅老所よりあいから~」 村瀬孝生

福岡市にある宅老所でくり広げられるお年寄りとの日々が、あるがままに綴られています。老いてぼけて死んでいくという自然の営みを、笑ったり切なくなったりしながら追体験していくうちに、「ぼけてもいいな」と自分に言えるようになって、「ぼけてもいいよ」って言いたくなる本です。

 

 

「わたしのげぼく」 上野そら/くまくら珠美

これぞネコの中のネコ!っていう風格の「わたし」が語り手となって、下僕(げぼく)である飼い主の男の子と一緒に成長していく物語が描かれます。ネコ愛を自覚している人は、決して人前で読まないでください。

 

 

「大切なことは『好き嫌い』で決めろ!」 千田琢哉

直感を信じて人生を好転させる52の方法。シンプルで明快な言葉がスラスラと入ってくる一冊。常識と我慢を捨てよう、方針とはリーダーの好き嫌いである、グレーをグレーのままにする勇気をもとう。

 

 

「カーリーさんの庭」 ジェイン・カトラー/ブライアン・カラス

カーリーさんの庭の花や草は、カタツムリが食べてしまって穴だらけ。ご近所さんたちがカタツムリ退治の方法を教えてくれようとしますが、カーリーさんは「このままでいい」と言います。そのわけは…。見た目の美しさや生産性よりも大切なものがあるというメッセージ。

 

高知みやげのお菓子をいただきながら、笑ったり泣いたり、腹を立てたり凹んだり、いろいろあった一年を語り合いました。

 

都合で参加できなかったメンバーからは、持って行きたかった本のリストが届きました。

●「ふたり」 甲斐みのり/福田利之

●「人間だから、一緒だよ」 石井英寿

●「どんな時でも人は笑顔になれる」  渡辺和子

この本と共に、どんな物語が綴られたのでしょう。

 

 

次回は、2月10日(土)19時~21時の予定です。

ご参加お待ちしています。