平成28年度「愛媛県 新人介護職員 定着促進プロジェクト」の実践報告会が3月14日(中予地区)・15日(東予地区)・16日(南予地区)の三日間行われました。
難しい名称になっていますが、要するに、「人が辞めない職場に変える」取り組みです。
愛媛県内25事業所が7月から実践した成果を発表するもので、汗と涙と笑いの物語です。
株式会社グッドコミュニケーション:中田康晴さん、脳活性サポート会社gift:福本由美さんと共に、私もアドバイザーとして参加しました。
3人とも、カウンセリングや心理学や人材育成などの色々な資格と経験を持っています。
かつ、それぞれの得意分野と個性があります。
それを活かして研修や管理者面談、職員面談などを行いました。ふだんは一人で活動することが多いので、起業独立しているカウンセラー・講師の方たちと長期間の仕事ができたことは、たいへん貴重な経験となりました。感謝です。
私は、介護現場で一職員としても中間管理職としても働いたことがあり、その反省や後悔や怒りや嘆きを『希望』に変えるため、現在は研修講師として現場を訪れています。
また、主宰するサロンで現場職員と家族の声を聞きながら、共に学んでいます。
だからこそ、言えることがあります。
理想を掲げていても、現場は動きません。
美しく抽象的な言葉を並べて飾っているだけでは、現場の職員の葛藤や嘆息が増すばかり。
掲げられた理念を、具体的な『介護』の行動に落とし込んでいける現場リーダーはいますか?
掲げられた理念は、食事・排泄・入浴などの場面でどう具体化されていますか?
『介護』をやりたい人が求めている本当の改革は、そのあたりなのではないかと考えています。
今回のプロジェクトは、組織風土の改革という切り口で行われました。
『介護』の質をあげていく前の、基礎工事。
これまでやったことのないこと、やりたくてもできなかったこと、一度挫折して諦めていたこと。
そんな職場の仕組みづくりへのチャレンジでした。
そのために提案したのが、できるだけシンプルで、目に見ることができて、やろうと思えば誰でもできる、そんな仕掛け(ツール)でした。
職員をその気にさせる戦略も、必要でした。
●あたりまえのことをあたりまえにやっている職員が評価されていますか?
●誰でもわかる、誰でも評価できる、具体的な「目標」を個々に設定していますか?
●「人が集まらない」と嘆く前に、今いる職員を大切にしていますか?
●管理者の役割が、明確に現場に伝わっていますか?
●経営や管理の課題を現場におしつけていませんか?
●現場リーダーと管理者のコミュニケーションは良好ですか?
●管理者は、明るい未来の希望、進むべき方向を語っていますか?
研修や面談を通して、事業所の問題を明らかにしていきました。
それぞれの事業所の管理者は、どう仕掛けていくか戦略を練りました。
次々に出てくる課題に正面から向き合わなければならなかった時期は、どの事業所もしんどかったと思います。
仕掛けの効果で、管理者と職員の距離が縮まったところがありました。
折れそうな心を支えてくれる仲間の存在に気づいた管理者もいました。
思わぬ副産物が生まれたところもありました。
そのプロセスに関わることができ、感謝です。
ひとつひとつのエピソードは、私の宝物です。
ふりかえって言えることが、ひとつあります。
リーダーたる人が本気になったとき、現場は動きました。
本気が伝わったとき、とも言えます。
外部から関わっている私にリーダーたる人の本気が伝わってこないようでは、現場の職員に伝わるはずがありません。
募集をかけても人が来ない、育てた人に辞められる、期待を裏切られる、あたりかまわず自分流を貫く人がいる、若いスタッフに「目標となる先輩がいません」とソッポを向かれる・・・。
リーダーの悩みはつきませんが、ここから先がモンダイです。
リーダーの腰が引けているようでは、悪循環から抜け出すきっかけは生まれません。
「本気でやる」という、この覚悟が問われていました。
本気を出すスピードは、速かったりゆっくりだったり、人それぞれでしょう。
本気の出し方も伝え方も、人それぞれでOKです。
現場を動かすのは、リーダーの「本気」です。
本気でやる!
このプロジェクトは、来年度も実施が決まっています。
さらにグレードを上げていくつもりです。
本気で職場を変えたい事業所、管理者、現場スタッフの皆さんの参加を待っています。
お問い合わせ等は、介護労働安定センター愛媛支部へ。