しかたなく笑う

苦笑い:にがにがしそうな表情をしながら

     強いて笑うこと(広辞苑より)

腹をたてることもできず、患者は苦笑するしかない。

車椅子使用者の外来受診に付き添った際、

そんなできごとに遭遇しました。

先方の事情で主治医が変わることになったとかで、予定より早く受診するようにとの連絡がありました。

新主治医は、患者の挨拶に対してチラ見ですませ、

パソコン画面でカルテをめくりながら、主治医変更の事情を一言述べたのみで自己紹介もなしでした。

パソコンばかり見て患者の顔を見ない、というのは今さら驚くことではありません。

このたびの「お医者さま」は、キャスター付きの椅子に両足を大きく開いて「ずっこけ坐り」状態(^_^;)電車の中でも顰蹙を買うであろう坐り方なのです。

そうとうお疲れだったのか、気怠かったのか・・・?

それとも、よほど嫌な引き継ぎだったのか・・・?

患者さんと私は顔を見合わせて『苦笑い』。

これはエライことになったなあ・・・と(^_^;)

無言で画面をスクロールする彼。

 

そして・・・前主治医が引き継ぎのためにコメントしたと思われる箇所 「原因はストレスか?」 

を見た彼は、唐突に質問したのでした。

 「ストレスって、なんのストレス?」と。

私は画面を追っていましたので質問の意味は理解しつつ、「はあ?!」 目がテン・・・。

 

本人は何を聞かれたか理解できないので、すぐ答えられず間があいてしまいました。

すると、初めて彼は患者さんの方を向いたのでした。

もう一度質問を繰り返され、どうにか「たぶん〇〇かな」と返答した患者さんに対して、

彼は頷きもせず一言も発することもなく、画面に向き直ったのでした。

患者さんが抱いた屈辱感など、まったく想像もできないのでしょう。

 

そんな「お医者さま」との「対面」を済ませて診察室を出た二人は、

顔を見合わせ、ため息をつきながら笑うしかなかったのでした。

 

さすがの私も今回は怒りも感じなくて、呆れるのももったいなくて、苦笑いですませたのでした。

前主治医を信頼して通院していただけに、とても残念がる患者さんと帰路につきました。

こういう「お医者さま」が、いまだ権威の上にあぐらをかいている現実。