家族に愛されている人

かつて介護施設(入所系)に勤めていたとき、

ほぼ毎日のように入所者の通院介助で出かけていました。

総合病院 整形外科 皮膚科 耳鼻科 婦人科 歯科・・・。

もともとの持病があっての定期受診もありますが、

ちょっとでも異変があったら 即受診です。

自宅暮らしなら おそらくわざわざ病院に行かないようなことでも、

「様子を見る」 ということをしてはいけないので(!?)看護師は大忙しでした。

入所者ご本人のためというより 施設側の自己防衛策ですね。

なんでもかんでも とにかく病院へという方針はおおいに疑問でしたが、

この「通院介助」という業務にも いいことがありました。

 

病院への行き帰り 施設の外の風景に季節を感じることができたり、

待ち時間に思いがけない話を聞かせてもらったりしました。

体調が悪いのでなければ、

帰り道には 内緒でちょっとだけ回り道をしてドライブ気分を味わったりもしました。

ふたりして 施設のなかのバタバタやゴタゴタから離れていられる時間なのでした。

それに 『人のふり見て我がふり直せ』 で、

いろんな「接遇」を体験したし 看護師の様々な振る舞いを観察することができました。

 

そして今は おふくの自宅暮らし支援で通院時の付き添いをしています。

介護者が仕事を持っていたり高齢であったりすると、

月1回でも 続けて通院するのはたいへんなのです。

 

先日も 仕事をもつ家族に代わって 通院時の付き添いをしました。

検査や診察にも同席したのですが、

こんなことを言うといけないのかもしれないけれど、

施設の職員だったときと すこし違う私がいました。

私を信頼して任せてくれた家族の気持ちを重く受けとめながら、

家族に愛されているその人の そばにいる喜びを感じていました。