考えることを放棄しないで

ある介護職の方から質問されました。

「2か所の事業所で 食事介助について正反対の指導を受けました。

 ひとつは 『利用者が箸を置いたら終わり。それ以上すすめないように』

 もうひとつは 『利用者が箸を置いたとしても 最後まで食べさせるように』

 どちらが本当なのですか?」

    ・・・さて どちらでしょうか?

すすめない派は 「認知症の人でもお腹が空いたら自分から食べる。無理はいけない。」

すすめる派は  「認知症の人は食事だという理解ができないのだから低栄養になってしまう。」

こんな理由を説明されたようでした。

あなたはどう思うのか? と聞いたところ、

「最初に『お腹が空いたら食べるから』と言われて『そうか』と思ってやっていたのに、

  次の所では『それではダメ』と言われたからわからなくなったのです。」 との返事でした。

 

すすめない派にも すすめる派にも どちらにも一理ありそうですが、

私はこんな問いかけをして 考えてもらいました。

「認知症の人ってことで ひとくくり一律のやり方が そもそもヘンじゃないかな?」

「ほんとですよね。食べない理由はいろいろありますよね。」

 

箸をつけない あるいは箸をおく理由は 人それぞれで、

その日によっても メニューによっても スタッフによっても(!!) 違うかもしれないのです。

もしかしたら 体調によるのかもしれないのです。

指導した人の真意はわかりませんが、

スタッフの観察力や思考力・想像力を奪う結果を招いているのは間違いないようです。

 

自分の目の前にいる人を見て 感じて 考えてみよう。

「でも 『こうしなさい』 と言われているので。 そういう場合はどうしたらいいですか?」

・・・まず 自分で考えよう!

疑問に思った わからなくなった 質問した 今日がその始まりの一歩です。