立つことって、すごく大事です

高知で開催された「ノーリフティング特別セミナー」の受講報告をいたします。

『「立つ」「足に重さをのせる」ことを日常に取り入れる』をテーマに、スタンディングリフトやスタンディング車イスや免荷歩行器などを体験しながら、ケア現場への導入について考えるセミナーで、全国から医療や介護にかかわる人たちが参加していました。

私のグループには、リハビリ職、介護職、福祉用具貸与業者の方たちがおられて、多様な視点からの話を聞くことができ、とても学ぶことの多い時間でした。

直立二足歩行をするように進化したヒトにとって、「立つ」ことはすごく重要な意味を持っています。

直立姿勢で立って歩くということは、生きて動いて、人として活動すること。

今回のセミナーでは、人の自然な姿として、立って移動することの持つ意味を改めて考えさせられました。

 

 

呼吸や血圧調整などの生理機能も、運動機能も認知機能も、立って活動するように仕組まれているので、「寝かせきり」は様々な機能低下を招いて「寝たきり」状態を作っていきます。

また、機能訓練室の中で専門職が行う「立位訓練」や「歩行訓練」だけでは、その人の生活の質を良くすることはできません。

 

多くの介護現場では、ベッドを離れて車イスに座ってもらうことや、少しでも歩いてもらおうと介助することを、生活の中で頑張ってやっています。

ただ、どのように座っているか、立っているか、歩いているか、そこが問題なのです。

そして、どんな活動をするための姿勢や移動なのか、という視点をもって介助することも大事です。

 

 

身体に合っていない車イスに座らせっぱなしで、姿勢が崩れてしまっているのは日常的な風景。

ズボンの後ろをつかんで釣り上げるように立たせたり、片側の腕をつかんでぶら下げるように歩かせたり、前のめりになる人の胸を手で押し上げながら歩かせていたり…。

対象者の機能維持や向上のつもりで行っている行為が、実際には事故のリスクを高めていたり、二次障害の原因になっていたり、尊厳を傷つけていたりしませんか?

介助者自身も、不自然な姿勢で腕力を使うことで体を痛めていませんか?

 

今回のセミナーで体験したスタンディングの福祉用具は、どのように立ち上がって、どのような姿勢で立って、どう移動するか、それぞれに特徴がありました。

共通しているのは、しっかりと足に重さをのせること。

そして、介助者も本人も、安全で安楽であること。

 

しっかりと足に重さをのせることで、骨盤が起きて胸が開いていって、姿勢が安定します。

そのことは、呼吸や食べることや排泄や認知機能面に好影響をもたらします。

また、人力に頼らない介助なので、誰が介助しても同じ方法で安心安全です。

このような「立つ」「足に重さをのせる」介助を、24時間の暮らしのサイクルの中に取り入れられたら、ケアの質そのものが変わっていく予感がします。

 

 

 

車イスで座って活動するしかなかった人が、自分の操作で、ボタン一つで立ち上がって活動することができたなら!

人に抱えられて「歩行訓練」していた人が、自分の足で自分の体重を感じながら「歩行」移動できたら!

ふたりがかりで抱えられてトイレに座らされていた人が、なんの苦痛もなく安心して座ることができたら!

 

痛みも不安もなく立っていられたら、世界の景色が変わって見える。

知らずにいたことや、失っていたものを取り戻せるかもしれない。

立って動くって、ほんとうにすごく意味のあることです。

 

そうはいっても、いきなり自宅でとなるとハードルが高いです。

 

在宅介護に「自立支援」や「予防的介入」の考えが浸透するには、まだまだ時間がかかりそうな現実があります。

 

機種によっては、対象となる人が限定されたり、使うための環境整備が必要だったりするので、用具の知識と、対象者や環境のアセスメント力が必要です。

が、うまく使えたら、これはもう世界が変わること間違いなしです。

どのような人に、どのような目的で、どう使うか。

 

これは、やはり専門職がたくさんいて、環境も整っている医療からしっかり取り組んで在宅につなげていってほしい。

病院の廊下やトイレで患者さんがスタンディングリフトを使っているなんて、想像しただけで楽しくなります。

 

 

まずは、知ること体験することから。

このような機会が、これから増えていくようにと願います。

 

セミナーを主催したナチュラルハートフルケアネットワークのフェイスブックで、スタンディングリフトの動画を見ることができます。

 

https://www.facebook.com/nhcn.trainingcenter/

 

セミナー開催ありがとうございました。

グループで楽しく学んだ皆さま、ありがとうございました。