「生きることにつきあう」介護

笑顔をひき出す 笑顔をもらう 笑顔あふれる・・・。

笑顔が最上級の目標にされることの多い介護業界ですが、

笑顔 笑顔 と連呼されると、なんか怪しいと思ってしまいます。

「おばあちゃんが、ぼけた。」の村瀬さんは、

介護について「生きることにつきあう」という表現をされています。

 

「『ぼけ』ることが素晴らしいなんて思わない。

 素晴らしいと思えることは、人はたとえ『ぼけ』ても一生懸命に

 生きるということ。

 そのことを認めない社会をぼくたちは望まない。」

  ⇒村瀬孝生著「おばあちゃんが、ぼけた。」

介護職の資格取得講座にかかわっていて残念なことは、

ひと昔前の医療目線 「問題点を抽出して解決して無くす」 という思考に満ちていることです。

利用者本人が『意欲的にリハビリに取り組む努力』が必要という上から目線であることです。

自覚しないまま気づかないまま そんな思考になってしまっていることです。

私たちは 「これしてください」 「あれしてください」 「そうしないと〇〇できませんよ」 

・・・そんな指導をする人ではなかったはずなのに。

「老いや病気や障害を克服する努力をする人」になるよう指導するのが仕事ではなかったはずなのに。

 

どうしてこんなことになってしまったのでしょう。

「意欲的にリハビリにとりくむ」 「積極的に交流を楽しむ」 こんな常套句を並べていたら、

「個別計画」とはいえないよね。

言われたことを言われたとおりに とりあえずこなす そこから脱出するにはどうすればよいのでしょうか。

 

介護職の 本来の仕事をとりもどそう。

怒りも悲嘆も 抵抗も閉じこもりも 生きることの表現と受け止められる人でいよう。

「ぼけ」や障がいのある人の 「生きることにつきあう」介護をしよう。