介護施設の「ありえない」残念な話

某介護付き有料老人ホームでのことについて、

とても残念な話を聞きました。

家族が入所している方からの相談でした。

「職員が目を離した間に転倒して骨折」という、

施設勤務の経験がある人ならドキリとする事故。

施設側の説明どおりなら100%施設側の過失といえる事故なのですが、あんまり残念すぎて憂鬱になる内容でした。


←なんとなく物憂げな顔のさっちゃん。 深まる秋。

いわゆる「ユニット型」の施設で、トイレつき個室。

トイレに座らせたあとで「手袋」が無いことに気付いた職員が、「手袋」をとりに行くため部屋を離れた。

その間に立ち上がろうとしたらしく、戻ったらトイレドアの前に倒れていた。


事故の概要はこんなことらしいです。

事故そのものについて言いたいことも山ほどありますが、

あんまりにも初歩的なミスだし 原因が「手袋」だというのが悲しすぎるので やめておきます。


もっと「ありえない」なのは 事故後の対応でした。


  事故が起きたのは 「おやつ前のトイレ誘導」だったので午後3時前後。

  家族が知ったのは 夜9時すぎの電話で。

  施設側からは「電話をかけたが出なかった」と言われたけれど、午後ずっと自宅にいた。

  そして、翌日に家族が寝台車を手配して病院を受診した。

  その結果 鎖骨と肋骨にヒビが入っていたことがわかった。

  高齢で認知症もあるので入院せず、施設にもどり経過をみることになった。


この施設は「家族に決めてもらう」方針なのだそうで、

これで3度目の転倒事故なのだけれど毎回こんな調子だそうです。

家族が翌日に寝台車を手配したのは 救急車を呼ぶことを嫌がるからだそうです。


ここにはとても書けないような『ありえない話』もたくさん出てきたのですが、

いろいろな不満や不安があっても抗議しないのは、

 「そんなことをしたら母にキツクあたられるから」なのだそうです。

入所までの苦労を聞けば安易な言葉はかけられなくて ただうなずくだけでした。


いざというときのために 向こうの過失であっても 医療費・移送費は全て自分が出している」


こんな覚悟でいる静かなお客様の怖さを 施設側は知りはしないのだろう。


『とにかく防衛策として即受診』というのが『ふつうの事故対応』だと思っていたのだけれど 間違いでした。

明らかに過失があっても「家族」の責任に。

こんなことも通用するのが 「たいへんな人を預かってあげている」介護サービス事業なのでした。


私自身も 怒りというよりは 悲しく憂鬱な気持ちになった話でした。


何が見えるのかな?

そこにいてくれて ありがとうね。