猫だましい

今日ご紹介する本は、河合隼雄著『猫だましい』 。

 

河合先生の本には、

昔話や児童文学を心理療法家が読み解くと・・・というものがたくさんあって、

こどものこころ おとなになること 生きること死ぬこと 不条理と希望 

などなど ふか~くやさしく教えてくれます。

 

『猫だましい』 は、猫が登場する物語を集めた本です。

「猫を主人公とする作品を基にして、猫を通して人間のたましいについて語りたい」

                       (河合隼雄著『猫だましい』新潮文庫 24頁)

 

なぜ猫なのかということですが、

河合先生は 悩みを持つ人を援助するときに

夢の話や 箱庭を作ることや 絵を描くことなどを大切にされていました。

そのようなときに 極めて重要な役割をもって猫が登場するのだそうです。

 

「化け猫」の話は古今東西あるけれど 「化け犬」の話は聞いたことがない・・・。

摩訶不思議 奇妙奇天烈 気まぐれな 人間のこころもよう と 猫。

猫好きにとって至福の一冊ですが、

特別猫が好きでなくても 『長靴をはいた猫』や 『セロ弾きのゴーシュ』 はご存知でしょう。

ほんとうに“猫が怖い”人は 読まないほうがいいのかもしれません。

『空飛び猫』(アーシュラ・K・ル=グウィン作 村上春樹訳)の章の最後を引用してみます。

 ・・・人間にもときに翼のある人がある。翼つきで生まれてきた子どもを見つけると、すぐに翼を手術によって除去し「正常」にする専門家(いろいろと名称はついている)たちが多い。臨床心理士とやらがその仲間入りをしないように願っている。

 

 翼つきで生まれてきた子猫たちの冒険物語。

 ル=グウィンの作品には 『ゲド戦記』も。

 

巻末に大島弓子の感想マンガ付き。 もちろん『綿の国星』は、「少女マンガの猫」の章に登場。